第4話


 ズウン…。

 地を震わす振動が、一歩一歩と近づいてきて、ようやくトウカ族の集落は、相手が想像以上に巨大であることに気が付いた。いつの間にか至近距離に現われたと思われていたラムートンは、実はかなり遠目から見たものだったのだ。とはいえ、歩幅も大きく、ずんずんと集落に追いついてしまった。
 辺りの暗さに(それは巨大なラムートンの落とした影だ)アウィスの使いが寝ぼけているか、もう夜が来たのかと、目をこすりながら出てきたアカリは、自分の真横に降りたひづめがバリバリと家を踏み、平らかに埋めてしまったのを見上げて、ぺたんとしりもちをついた。中では、まだ熱い乳茶が作られていたはずだ。

「…大きい」

 ようやくアカリがまた目を瞬(しばた)かせたのは、彼がゆうゆうと家を踏み越えて次の場所へ四足を降ろしたころのことである。男達が脇を抜けていく中、アカリはコマティの無事を確かめに反対方向へ駆け始めた。

アカリ・トトゥルムが旅立つ前 かつてのトウカ族集落にて

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